SHINBUNKEN

【新聞の逆襲】

「オワコン」ではなく「フカコン」だ・・・新聞力研究所・菅沼堅吾代表理事が仕掛ける「新聞の逆襲」(3)

新聞力大賞とポジティブ型新聞批評 小さな記事にも光を

菅沼氏

既存の新聞協会賞やジャーナリズムの大賞は「山の頂点」を決めるもの。私たちのは「山の斜面に無数に咲く花」に光を当てたい。渡辺理事の発想は「本屋大賞」のように販売店が選ぶ賞があってもいいじゃないか、というもので、そこから議論しました。
新聞力大賞(仮称)は毎月、理事や外部有識者らが「今月一番新聞力を感じた記事・人・取組み」を自由に推薦する仕組みにしたい。
基準は選者に任せ、新聞社や販売店の推薦も大歓迎です。今、ホームページを作成中で、そこで発表したいと思っています。

私が愛知県の岡崎支局で最初に書いたのは、保育園か幼稚園の園児が河川敷の斜面で段ボールをソリ代わりにして遊んでいる様子を紹介した小さな記事でした。
翌日、「家族の記念になった」、「写真を分けてほしい」と3、4件電話がかかってきた。あの記事は間違いなく、岡崎の数組の家族を幸せにしました。もし当時に新聞力大賞があったら、私はあの記事を推したかもしれませ
ん。
既存の賞では引っかからない記事にも、実は新聞力としてすごい価値がある。それを表彰する意味でも、シンブンケンは「法人格」を持った方がいいんじゃないかと思いました。

ポジティブ型新聞批評は、従来の「ここがダメだ」、「劣化した」という論調とは逆に、「こんな背景があって、これだけのインパクトがある、すごい記事だ」と良い記事の価値を前面に発信する批評です。
批判ばかりでは現場も萎縮してしまう。批判文化ではなく、褒めて応援する文化を根付かせたいのです。新聞力大賞と同じ発想です。

「幸福産業」としての新聞 毎日届く手紙

菅沼氏

情報産業と定義すれば、ニュースが無料の時代には生き残ることはできません。しかしながら、新聞の本質は「人を幸せにする」ことにあります。

究極は「国家権力を監視し、二度と戦争をさせない」報道。戦争は人を不幸に陥れる最大のものですから、これを防ぐジャーナリズムは最大の幸福産業です。
日常レベルでも同じです。地方の野球大会で優勝した子の名が新聞に載り、家族が切り抜きを額に飾る。ラーメン店の紹介記事が店主の誇りになる。新聞に載るということには、いい意味で特別な「公式感」があります。
私が「筆洗」という1面コラムを担当していた頃、読者からお手紙をたくさんいただきました。
毎回お返事ができないので、ある読者の方に「日々皆さんにお届けしている新聞が、私からあなたへのお手紙です。このコラムもあなたに向けて書いているつもりです」とお伝えしたんです。
すると「わかりました。これから毎日が楽しみです」と返事をくださった。

新聞は単なる情報ではなく、書き手の共感や思いが込められた「手紙」として毎日届く。販売店が配達してくれるシステムがあるからこそ実現できるのです。そう考えると、新聞はまさに幸福産業だと思います。

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